名古屋高等裁判所 昭和25年(う)1013号 判決 1950年7月29日
被告人
森本政一
外一名
主文
原判決中被告人森本政一に対する部分を破棄し、本件を名古屋地方裁判所岡崎支部に差戻す。
被告人岡本博の本件控訴は之を棄却する。
理由
職権を以て調査するに原判決は被告人森本政一の判示所為につき法律を適用するに当り刑法第一四條を遺脱した違法がある。即ち原判決は判示第一の一の所為につき暴力行為等処罰に関する法律第一條を適用し(同法第二條も挙示しているが、判示第一の一の所為は同條に該当するものではない)懲役刑を選択し、判示第一の二の所為につき刑法第二百四十九條第一項を適用し、判示第一の三の所為につき同法第百八十六條第二項を適用し、判示第一の四の所為につき銃砲等所持禁止令第一條、第二條を適用し懲役刑を選択し、何れも刑法第五十六條、第五十七條に則り累犯の加重を為した上、以上は併合罪であるから刑法第四十五條、第四十七條、第十條により最も重い恐喝罪の刑に法定の加重を為したものと認められる。然しながらこれでは処断刑は三〇年以下となる筋合であるから当然に刑法第十四條を適用しなければならないのに原判決は之を挙示しないから同條の適用を遺脱した違法があつてこの点に於ても原判決は破棄を免れない。